電車オヤジの暗号文

 このあいだ電車に乗っていたところ、ドア付近に立っていた50歳ぐらいのおっさんが窓の外に向かってしきりに何かを呟いていました。「ホーッ!リッ!…ワッセ!メ…クソ!」。…なんだポケモン全493種の暗唱かよ…驚かせやがって…。と思いつつもやはり何を言っているのか正確に知る必要があると感じた私は、駅で降りる人に紛れてちょっとずつおっさんに近づいていく、いわゆる多重残像拳を駆使して接近すること20分。ようやく「こちらからは見えるがおっさんからは見えない」というマジックミラー・ポジションを確保。耳を澄ます。「法政!立教!それにつけても早稲田!明治は馬鹿!」「法政!立教!それにつけても早稲田!明治は馬鹿!(以下同文)」。


 さっそくクライアントのプロファイリングに入るが、まず注目すべきは「それにつけても」という接続語である。自分が知識階級であることをアピールするわけではないが、私はこの言葉をカールのCM以外で聞いたことがない。それにつけてもおやつはカールである。万事解決したので次に移る。「明治は馬鹿!」。これに関しては「明治」という対象に強い恨みを抱いているという解釈では何かが足りないと感じた私は「明治は馬鹿」で一つの言葉ではないかと考えた。「メイジハバカ」をアナグラムを使って整理すると「カイジメハハ」→「カイジめ、母」となる。これはもしかすると…。私は思い切って全文を分解して再構築することにした。「ホウセイ リッキョウ ソレニツケテモ ワセダ メイジハバカ」→「ウワ セメイリ ハハダセ カイジ キョホウモッテ ソレケツニ」つまりあのおっさんが本当に言いたかったことは「うわ…攻め入り。母だせ!カイジ、巨峰もってそれケツに」。なにこれ。寝ます。