サイバー未来予想図

 HDDレコーダーを使って改めて思うことは、人類の生み出す記録媒体は高度になればなるほどそのデータは失われやすく、そして専用のハードがなければ再生することすら叶わないという事実である。原初の人間が生み出した「壁に落書き」がある意味では最強の記録媒体であるといえる。ではこれからどうなっていくかと考えてみると、SF小説のような話だが、最終的にはやはり10テラバイトだとか新聞紙200万年分だとかの記憶容量を持つとされる、人間の脳そのものをハードディスク化する方向になっていくだろう。

 
 脳のハードディスク化に成功すると、まず人間は『脳を鍛える大人のDSトレーニング』をやる必要が全くなくなる。なにしろ国語辞典だろうが物理の専門書だろうが、それぞれソフトウェア化されたものを直接「脳のハードディスク」略して「ニンテンノウ64」にインストールするだけで、知識量に関してはコロ助=キテレツになってしまうからだ。勉三さん=ブタゴリラと言い換えてもいい。


 次に行われるのが、脳の処理速度やアイデア力を高めるソフトウェアの開発だ。おそらく最初は偉人の思考体系をそのまま再現した「アインシュタイン・エンジン」や「織田信長・エンジン」などが発売され、どのソフトをインストールしているかがその人間の個性となる。クリスマスの朝、ふと枕元の靴下に目をやる貧しい家の子供。「やったー!ビルゲイツ・エンジンだ!サンタさんありがとう!」「がんばって稼ぐのよ」といったことになったり、就職活動中の内気な青年が、大事な面接の直前に猫ひろし・エンジンでテンションを過剰ドーピングする光景もあるだろう。


 そしていよいよ個人のニンテンノウがネットワークを介して全世界のニンテンノウと繋がる日がやってくる。人気の日記サイト管理人が自らの思考エンジンをダウンロード販売したり、連続殺人鬼の記憶データがファイル交換ソフトWii_y」で取引されたりもするだろう。中には誤まってファイルを開いてしまうと、自らのとても恥ずかしい思考や記憶(風呂場でおしっこしてる場面とか)を全世界のニンテンノウネットワークに流出させる「King-Tamangウィルス」の危険もあるかもしれない。そんな未来が訪れる前に私達がやっておかなければならないことは、3ヶ月前に買ったドラクエ8をいい加減クリアすることではないでしょうか…?(Lv20)