バガボンド24巻感想 


バガボンド(24)(モーニングKC)

バガボンド(24)(モーニングKC)


 「おれ、呂布より赤兎馬に乗るのうまいから」と豪語したこともある私は実際のところ竹馬すら満足に乗れないわけであるが、剣術に関しては武蔵や小次郎に負けない自信がある。なにしろ私はかつて『六三四の剣』に憧れて剣道道場の門を叩いたことがあるからだ。そして「面がクセェ」という理由だけで道場をあとにしたこともあるからだ。そんな武士道精神のかけらもない、バナナの黒く変色した部分を残すタイプの小市民である私の体格はズブ濡れのプードルそっくりです。武蔵や小次郎どころか、たぶんズブ濡れのプードルと喧嘩しても負ける。


 武蔵と小次郎の再会、そして幼少の武蔵がいつしか忘れ置いてきてしまった「すべてはひとつのもの」という理との再会。言葉を持つがゆえに様々な苦悩と葛藤に揺さぶられ、理を求めようとするがあまり逆に理を見失ってしまった武蔵と、耳が聞こえず言葉も持たないがゆえに常に理の側にいる小次郎という構図。やっぱ小次郎が絡んでくる方が断然見ごたえがあるなぁ。武蔵の10の言葉より小次郎の「アー」に説得力を感じてしまう。もうこのマンガ、武蔵いらなくない?冗談です。武蔵は雪だるまのところで小次郎に斬られちゃえばよかったのに。本気です。武蔵vs伝七郎より小次郎vs伊藤一刀斎の方が読みたい。