5分でわかる攻殻機動隊

 いまさら見たのかよという話ではありますが、こんなに面白いと思ったアニメは例の綾波槍投げリオン以来10年ぶりで、カルネージハートの分厚い説明書にも載ってないハマり方をしたので簡単にまとめてみます。興味を持った方はDVDを購入して続編製作の資金提供にご協力ください。僕は月額315円のアニマックスで録画したので一切買いません。

脳にネットを接続する「電脳化」と、肉体をサイボーグに換える「義体化」が進む近未来の日本を舞台に、あらゆる犯罪に対し公平な攻性措置をとる公安9課の活躍を描いた世界の中心で火曜をサスペンスする劇場。「泣きながら一気に崖まで追い詰めました」(船越英一郎)


■主要登場人物■(TV版)


草薙素子 (中央の女性)
通称「少佐」。実働部隊のおかしら付きヘッド。ハイレグ水着の上から黒のジャケットを羽織るその露出狂スタイルはドン小西が見たら泡を吹いて卒倒する。年季の入ったおっさんばかりの公安9課にあって唯一の女性であるが、指揮能力に長けており、川崎麻世に対するカイヤのような命令口調で良い年したおっさん達を尻に敷くクールビューティー。脳の一部以外すべてサイボーグ化している「完全義体」でもあり、両手持ちのシュワルツェネッガーと腕相撲しても眉一つ動かさないであろう馬力と、赤坂マラソンそのまんま東を周回遅れにさせるであろう脚力を持ったロイヤルストレートフラッシュ級の電脳ハッカー。大抵の野次や暴言に対しては皮肉をトッピングして冷静にピッチャー返しする少佐であるが、一旦キレると対戦車ライフル片手に無差別発砲する淡路島の火薬庫。あまり少佐を怒らせない方がいい。


荒巻大輔 (右から2番目の白髪)
公安9課の課長にして通称「ビリーズブートキャンプで激痩せに成功したジャムおじさん」。このニックネームで親しんでいるのはおそらく私だけであるが、準備段階のもんじゃ焼きみたいなハゲ方をしておりIQの高さを伺わせる。身長も低く小柄なため、少佐と並んで歩くシーンは飼育員と散歩中のシロテナガサルにしか見えないが、お偉いさんとの人脈も豊富であり、政治的な事件の解決には必要不可欠な人物である。なぜかこのおっさんのハゲ頭を見てるとミスドポンデリングを思い出す、ということも補足情報としてつけ加えておきたい。


バトー (草薙素子の左)
本人は諜報のスペシャリストを自負しているが、筋トレグッズ収拾が趣味の時点で疑いようもない武闘派であり、ヤンキースの4番も夢ではない動く六本木ヒルズ。無口で無愛想なおっさんが多い中、冗談を言っては少佐にコケにされるなど、ちびまる子ちゃんでいうところのハマジのポジションに収まる。かといって根っからのパーというわけではなく、現場での任務遂行能力は大野君と杉山君のポジションだと言える。


トグサ (右から3番目の茶髪)
公安9課の中では珍しくほとんど義体化しておらず、感情面でも一番人間臭い。一介の刑事であったところを少佐にスカウトされた新人おっさんであり、語らない正義感の持ち主が多い9課メンバーの中にあって、このトグサはけっこうベチャクチャ語る。しかし少々のことでは動じないアイアンリーガーたちで固められたこの物語にはなくてはならないはみだし刑事純情系。


イシカワ (右端)
彼こそがSMAPの歌う「世界に一つだけのヒゲ」。情報解析のエキスパートであり、実働部隊を支える9課の生命線。独断先行プレーおかまいなしの少佐や、感情に揺られて目的を見失うこともあるバトー、トグサといった面々に比べ、いかなるときもニュートラルな視点を維持し続けるメトロノームみたいなおっさん。


タチコマ

まだ声変わりしてない小学生男子系のしゃべり方をするAIロボット。バッサバサに乾燥したハードボイルドな雰囲気にホースで水をぶっかけるマスコット的存在にして9課の立派な戦力の一つ。少佐やバトーに対しては頭が上がらないようであるが、新入りのトグサに対しては常に「トグサく〜ん!」と君付けで呼ぶなど、その無邪気さの裏に見え隠れする腹黒さがプリティ長島

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TVシリーズ

攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX」全26話(2002)
第1シリーズ。基本は1話完結だが、「笑い男」と呼ばれる電脳ハッカーが引き起こした劇場型犯罪のエピソードが複数回にわたって挿入されており、この「笑い男事件」の解決が物語の主軸となる。マイファーストチョイシングオキニデラックス(和訳:面白いよ)


攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG全26話(2004)
第2シリーズ。「個別の11人事件」がメイン。クゼっていうおっさんの声が24のジャックバウアーなのを俺は見逃さない。


攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society(2006)
2時間ぐらいの長編。vsゴーストハッカー傀儡廻」。この漢字を紙に書く機会は一生訪れないだろうね。

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■劇場版■

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊(1995)
草薙素子とゴーストハッカー人形使い」の話。近所のゲーセンのUFOキャッチャーの中身がすべて人形使いに盗まれた!少佐!カウントダウンTVをご覧の皆様にビデオメッセージで伝えるんだ!っていう話でないことは間違いない。自分もはっきり言って5%ぐらいしか理解していないが、大雑把にまとめると、電脳をハッキングされて他人の記憶を埋め込まれたりニセの思い出を掴まされるような時代や、ゴースト(魂や意識のようなもの)をほいほい違う体に移植しちゃう時代ってどんだけ〜。オイラっちがオイラっちであることや、オイラっちが認識している事実が実在するってことをどこのオイラっちが証明してくれるの〜?(><)みたいなことを少佐が超悩んでノイローゼになるっていうTETSUGAKUストーリー。ハードなSF小説まんまのノリなので日本人受けが悪いというのも頷ける。


イノセンス(2004)
英題「GHOST IN THE SHELL2」。バトーがおっかないし、家が火事になった直後の永沢くんでさえ出せない陰鬱な雰囲気。こちらもやっぱり人間とサイボーグと人形の境界線ってどのオイラっちが引いてんの?っていう小難しい話。オイラっちって誰なんだよ。映像は凄い。アニメなんだけどかなり挑戦的な工夫(実写的な)が施されていると思われるが詳しいテクは一切わからないし教えてもらったところで理解できない。豪快に使いまくっているCG表現を隠す素振りもなく、全体としてみると浮いちゃってるので意見がわかれそうであるが、アニメ映画といえば宮崎アニメとドラえもんぐらいしか見ない自分はわりかし圧倒されたし、アニメでもこんなのできるんだと感心した。

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■劇場版とTVシリーズの違い■
TVシリーズは、もしも劇場版で草薙素子とオイラっちが出会っていなかったら…?という設定のパラレルワールド。劇場版は草薙素子やバトー個人の心理的な葛藤をややこしく描くことに精を出しているが、TVシリーズは事件解決機関としての公安9課の活躍を中心に描いている。またTV版は重厚なSF設定を維持しつつ、一サスペンスとしても特A級で通じる笑い男事件とその他エピソードを創出。さらに今風のアニタクにも受けそうなキャラクター配慮が多少なされており、SFマニア以外にも楽しめるバランスになっていると思います。さようなら。